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カイルはすぅーっと大きく息を吸った
カ「……♬~♩♫♪♪♬♫~」
カイルの歌声が船上に響く
その声は透き通っており、とても男とは思えないほど柔らかい声だった
鉱石が反応し光りだす
鉱石同士が光で繋がり、円を作り出す。そして、新たに光線が伸び、2人を包むように頭上でそれぞれの光が繋がる
シュ「すげぇ…」
2人の髪がふわふわと揺れ、テティスの尾に巻いていた布が自然と解け、広がった
オ「ああ。この光景もだけどカイル君の歌声もやべぇ」
オスカーのその言葉が聞こえていた船員達は、無言で2人を見ながら頷く
テ「♬♪~♪♩♫~♫~」
カイルの歌声にハモるようにテティスが歌い出した
レ「2人の人魚の歌声を同時に聴いた人間なんて、
この船の人間以外いないだろうなぁ…」
シュ「あっ!見て!テティスちゃんが光ってる!」
シュカの言う通りテティスがキラキラと輝き出していた
光を帯びていたのは傷を負った箇所だ
その中でも特に光っているのは腕が欠損した部分で、船員はその光を見てテティスの腕が無事に再生されることを祈った
2人を包む光線が光を増し、やがて完全に2人を光の壁で覆い隠した
2人の歌声は相変わらず聞こえてくるが、外から2人の様子を伺うことが出来なくなった
ハ「上手くいってくれ…」
ラ「ああ。そうだな…」
そして、高音が響き渡ると共に、光が弾け飛んだ
船員達は眩しさに一瞬目を逸らしたり、瞑ったりしたものの、テティスの怪我がどうなったのか気になっていたので、すぐに視線を2人がいる方に戻す
そして、全員が目を見張った
そこに居たのは、全ての傷が消え、透き通った肌と輝きを取り戻した、見違える程美しいテティスの姿だった
もちろん、欠損していた腕も再生されていた
船上に歓声が上がる
テティスは自分の両手をじっと見ながら開いたり閉じたり動かし、自分の肌や尾に目を向ける
そして、ボロボロと涙を流し、しゃくり上げながら目の前にいるカイルを見た
テ「あり、がとう…本当に、ありがとうっ…」
カ「どういたしまして」
カイルが軽く腕を広げると、テティスはカイルに抱きつき、ありがとうと言いながら涙を流し続けた
カイルが辺りを見回すとラウトと目が合った
ラウトは「良かったな」とでも言うような感じで、カイルに向けてニヤッと笑った
うん、助けられてよかったよ。協力してくれてありがとう
そう思いながらカイルもラウトに笑い返した
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