アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
恋バナ
-
「で?誰なんだよ由岐って、可愛いんかよ」
誰もいない自習室で向かい側に座り、黙々と勉強していた早川に問いかける。
「…可愛いって、人によると思うが…俺は可愛いと思う」
「お、なんだ?好きなんか?」
「どうしてそうなる」
むっとした顔で参考書から顔を上げ、口をへの字に結ぶ。
「…俺はいるから、他に…好きな人が」
「へぇ、何組?」
「言うわけないだろ?」
恋バナにこれでもかと食いつく鶴見に「お前口軽そうだしな」と笑うと「なんだとやるかコラ」と笑い返される。
「…どうするんだ、返事は。…今鶴見は付き合ってる女性はいないんだろ?」
参考書を見たまま「俺はお似合いだと思うけど」と小声で続ける。
「まだ顔も知らねーし性格も知らねーからな、付き合うにゃ早すぎだ。友達から始めるわ」
「…………案外真面目なんだな…女なら誰でもいいみたいなやつかと思ってた」
鶴見が発した予想外の言葉に眉をあげ、驚いた顔で鶴見を見る。
心外な言葉に少し顔をしかめ「なんだお前、失礼だな」と咎めると、早川は「すまんすまん、意外だったから」と笑った。
「…鶴見は、好きな人はいないのか…?」
話題が途切れ自習室にシャーペンをすべらせる音だけが響いていた時、早川が唐突に切り出した。
「…いや、俺だけ言うってのも、なんか不公平かなって…どうなんだ鶴見」
「お前案外そういう所子供っぽいんだな……。いる。2組のさぁ、ありすって子。めっちゃ可愛い。」
名前は聞かれていなかったが、なんとなく、早川になら言っても大丈夫だという気持ちから、するりと名前を言ってしまう。
すると「いいこと聞いたな」と早川がくすりと笑った。
「綾瀬アリスか。いい趣味してるなお前。」
ふふ、と小さく笑いながら「お似合いお似合い」と茶化したように鶴見の手を小突く。
「なっ、あんだよ!馬鹿にしてんだろ!」
「いや、鶴見は真面目だから、真面目系が好きなのかと思ってたから…綾瀬アリスは意外だったな」
綾瀬アリスは学年屈指の美少女だ。
まるでアニメのキャラクターのようにギラギラした黄色の髪は、ツインテールに縛られてフワフワと風でなびく。
大きな目は深い青色で、身長はそこそこ、体型はモデル型とその時点で人生勝ち組のような女だ。
「鶴見と綾瀬が並んで歩いてたら、そりゃ注目集めるだろうな。美男美女だってさ」
「まぁそりゃな……いや、俺はそこまで美男でもねーけど」
「…………そーか?そーいうもんか…」
しばらく間を置いたあと、ふいっと顔を逸らす早川。
その行為が少し気にかかるも、鶴見は深く追求しないことにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 7