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執事だろう、とドアを開けに行ったシノだったが開けてみるとそこにいたのはジューンだった。
「兄さん、どうしたんだ」
「いや。あ、ルナもいたんだね」
部屋の端のベッドにちょこんと正座をしているルナを見つけて微笑んだ
「は、はい」
「仲が良いね。シノ、あれあるかい?」
ジューンがシノに何かを催促した。
シノが無言で頷くと奥の部屋に入って行く。
もちろんルナにはなんの事かはわからない。
「あれって何ですか?」
「コーヒーの豆だよ」
「こーひー?」
「そう。コーヒーノキから採れる種子を加熱加工したりして飲み物にするんだ。ここの森にもその木があるらしく、シノが時々取ってきてくれるんだよ」
コーヒーが何かを説明している間にシノが奥の部屋から戻ってきた。
手には小さな袋を持っている。
「匂ってみるか?」
シノはそう言い、袋をルナに渡した。
結びを解いて中を覗くと茶色の種がたくさん入っている。
鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅いでみる
「…?おいしいんですか?」
「いいや、不味い。俺も前に一度飲んだが苦くて吐き出した」
ジューンが答える前にシノがその時の味を思い出したのか顔を歪めながら言った。
「シノもまだまだ子供だな」
「ふんっ」
拗ねてそっぽを向いたシノ
「ぼ、僕は美味しく感じるかもしれませんっ」
"少し飲ませて下さい"
とルナが言うと2人同時に"まだ早い"と言われて今度はルナが拗ねる
(い、一応ぼくの方がシノより年上なのに!)
ジューンはクスクス笑ながらシノに礼を言って部屋から出て行った
「あの豆はちょっと特殊で人間が飲むと酒を飲んだようになる」
「へぇ」
「今度もっと美味しいもん飲ませてやる」
それを聞いたルナは目を輝かせる。
シノは色んな事を教えてくれる。
ここに来ていなかったら一生知らないままだったんだろうなぁ、と思う。
「ありがとうございますっ」
それから日課になった夕陽が沈むのを見て、ルナは部屋に戻った。
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