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「楽しそうだね」
その声が不意に小屋の入り口が聞こえ、ルナの顔が凍りついた。
振り向かなくても誰かわかる。
(…ジューン様)
「兄さん、早いね」
シノが振り返りジューンに話しかける。
その間もルナは入り口の方を見ようとはせずに固まっている。
「あぁ、昨日はコーヒーを飲んで何時の間にか眠っていたらしい」
「へぇ」
一歩一歩こっちに向かってくる。
心臓が張り裂けそうなほど暴れてる。
クシャっと髪を撫でられ顔を覗かれた。
「ルナもおはよう。よく眠れたかい?」
その言葉にはなんの含みもなさそうだ。
「あ、はい」
ジューン様は嬉しそうに笑ってルナの顎を撫でる。
「今日は仕事が忙しそうでね、部屋から出れそうにないからルナの顔を見に来た。部屋にいなくて驚いたよ」
「ごめんなさい」
なぜルナの顔をわざわざ見に来たのかは分からないが取り敢えず謝る。
「ルナは兄さんのお気に入りだな」
「ふふ、そうだよ。」
目を細めてルナを見つめながらそう言う。
シノからはジューンの顔が見えないのだろうが、この表情はなんなのだろう。
(まるで愛おしいそうに僕を見てる)
勘違いだろうか
いや、でも熱っぽいこの視線は…
(…ジューン様も昨日の事を憶えてる?)
まさかこの場でそれを確かめる事も出来ずに、ただ見つめ返す。
でもそれ以上は何も読み取れない。
「おいっいつまでその状態でいるんだ」
とシノが2人の間に割り込んで来た。
「あぁ、すまない。じゃあまた」
どこか名残惜しそうに離れて行くジューンの背中を視線で追った。
「肌寒くなってきたな。もうすぐ冬だ」
肩をさりげなくシノに抱かれる。
目の前にある木から、風に吹かれて一枚の葉がひらひらと舞うその様子が、自分と良く似ているとルナは思った。
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