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(俺はここで待っている。)
町に着いてからカイがそう言った。
確かにこんなに大きな犬を見たらほとんどの人は悲鳴をあげるだろう。
カイに礼を言い、町の中に入った。
沢山の人で溢れかえっている。
珍しい物も売っていて魅入っていると、宝石を売っているおじさんに声をかけられた。
「お前さん、猫かい?この辺じゃ珍しいね」
頭には兎の耳が付いている。
それにさっきからすれ違う人はほとんど兎だ。
「は、はい。今ジューン様の所に来ていて…」
「あぁ!ジューン様は猫の嫁を貰うそうだな!もう決まりそうなのか?」
「いえ、まだ」
「あの人は慎重そうだもんなぁ!」
大きな声でガハガハと豪快に笑う。
「で?お前さんは何をしに来たんだ?」
「ぼく、お使いで服を買いに来たんです」
「そうか!この辺はちょっとややこしいからな。俺の息子に案内させよう」
座っていた椅子から立ち、奥の部屋へと入って行ってしまった。
とたんに怒鳴り声が聞こえてくる。
なにやら揉めているらしい。
おじさんが戻って来たときには一人の男の子を連れていた。
「俺の息子だ。服屋まで案内させる」
「え、いいんですか?」
俯いてるその子に問うと、
「良くねぇ!だいたい俺は猫が嫌いなんだ!」
ルナと同じ年頃のその子はルナの事を全身で拒否している。
フーッフーッ
と威嚇してくるので困ったようにおじさんを見た。
「バカっ。家にいても何もしねぇだろお前は」
頭にげんこつを落とす。
「ってぇ!」
涙目になりながらもまだルナの事を睨んでる。
(そんなに嫌なら他の人に聞くのに…)
そうとはいい出せずけっきょくブツブツ言ってる息子に着いて行く事になった。
「ごめんなさい。無理矢理案内させて」
じろっとルナを見てからため息をつく。
「…まぁいいよ。お前は悪い奴じゃなさそうだし。俺はトト。お前は?」
「ぼくルナ!」
トトと名乗った兎族の男は話してみると良い人だった。
なぜ猫族を嫌っているのかと聞くと昔、猫とケンカしたときに顔中を引っ掻かれたかららしい。
「ルナはこの辺に引っ越してきたのか?」
「ううん。今はジューン様の所にきてるんだ。」
「え!?」
「?」
トトがじっとルナをみる。
その顔は戸惑いを隠せていない。
「…ルナって女の子だったのか」
…ちょっと抜けてる所があるみたい。
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