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急いで階段を駆け下り、途中ですれ違ったエマにも気づかず玄関まで走っていく。
やっとついた頃には今にもマーシャが馬車に乗り込もうとしていた。
シノが振り向きルナと目が合い、
「ルナっ」
と声を上げた。
それを聞いてマーシャの動きが止まり、ゆっくりと振り返る。
「あ、」
ルナは何も言えずにただマーシャを見ている。
マーシャがふっと笑い、長いスカートを掴みながらこちらへやって来た。
ジューンとシノを通り越してルナの目の前に立つ。
「ルナ、ごめんね。私すごい嫌な人だったよね」
「え?」
ルナより背が高いマーシャは同じ目線になるように少しかがむ。
「昨日もルナが起きているの気づいててあんな事言ったの。私が意地悪しても我慢してたルナがおっきい声であんな事言うなんてびっくりしたよ」
思い出したようにははっと笑ってから続ける。
「でも本当にジューンが好きなのはわかった。それくらいの気持ちが伝わってこなかったら私、反対するつもりで来たの」
獣族の中には人間のお金を自分の物にしたいが為に結婚した人が結構いるそうだ。
ジューンを心配したマーシャはわざわざ屋敷に訪れ、ルナがどんな人か見極めていたらしい。
「ルナは本当にいい子で大好きになったよ。次に私がこっちに来た時はいっぱい遊ぼうね」
にこっと笑い、馬車に足をかけてから思い出したように
「ルナ、カイに謝っておいてくれる?一度酷い事をしてしまって…でも悪気は無かったの」
「は、はい」
「じゃあね」
扉が閉まりどんどん馬車が遠ざかって行く。
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