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「ジューン様はすでにルナを抱いたのですか?」
なんの脈絡も無くエマはジューンに問う。
なぜそんな話を今するのかと思い、また恥ずかしく顔色を青から赤に変えていく。
ルナのそんな表情を肯定と取ったエマは何か考える様に目を瞑った。
「…ルナは妊娠していると思います。」
エマは確信を得た様にジューンに言う。
妊婦を何人も見てきたエマは妊娠初期の子はそんな症状がでるのだ、と説明した。
「それに猫族は性行為をするとその痛みで排卵し、ほぼ100パーセント妊娠するような体の作りになっているのです。」
「ちょっ、ちょっと待って!ぼく、村の先生からお前は妊娠出来ないって小さい頃に言われたの」
「ルナ、生理は来ているんでしょう?」
戸惑いながらこくりと頷く。
確かに普通の女の子より遅がったが今でも月に1回ちゃんとある。
「じゃあ、あり得るんじゃない?」
そう言われても全く現実味が無かった。
自分は男だし、一生子どもなんて産まないと思っていた。
それで別にいいとも思っていた。
けれどもし本当にルナのお腹に赤ちゃんがいるのならばジューンとの子供だ。
嬉しくない訳がない。
自然に涙ぐみ、それはポロポロと頬を伝った。
そっとお腹に手を添え、隣にいるジューンを見上げる。
ジューンはこの事を喜んでくれる、と疑わなかった。
嬉しそうにルナの頭を撫でてくれるって。
しかしこっちを見つめるジューンはどこか悲しげな目をしている。
それがなぜだかルナにはわからなかった。
(どうしてそんな顔するんですか?
喜んでくれないんですか?)
「私はルナが産まないとしても反対しないよ」
産まない?
反対しない?
ジューンは子供を失っても平気なんだ
そんなに簡単に言えるなんて…
「……」
どうして?
庭のどこかでチロルの鳴く声が聞こえた気がした。
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