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蜜と蟷螂 9
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「変かな? 市原君は、男にも見えるし女にも見える。逆に男にも女にも見えない。何て言うか、性みたいなのを超越してるような感じがする。だから、天使」
あ、そうか。アメリカってキリスト教圈だから、天使の存在がより身近なんだ。
男にも見えるし女にも見えるは、日本だと「オカマ」になるけど、アメリカじゃ「天使」なんだ。
天使なんて、フワフワで純白なイメージだけど、黒崎君が何の照れもなく言うから、つい悪戯心が芽生えてしまった。今更、隠すものなんて何もないし。
「でも、その天使は人間の男の味を知っています。どういう意味か分かるよね?」
イメージ壊して、悪いかな? でも、俺はこういう人間なんだ。ごめんね、黒崎君。
「…うん…、辛いこと訊いて悪かった」
「汚いって思う? 穢れてるって思う?」
黒崎君はどう思ったのかな? 困らせたかな?
ポーカーフェイスで読み取れないけど、何か考えてるのは確か。唇に手を当てて伏し目がち。
「俺は思わない。セックスしただけじゃんって思ってる」
「どういうこと? 言ってる意味が分からない。そもそも全ての人間は穢れてるから、この地に留まってる。誰もがそうだ。それと、レイプはセックスじゃなくて暴力」
──人間は穢れてるから、この地に留まってる。
キリスト教的な考え方なんだろうか?
当然、俺もそこに含まれるわけで、じゃあ、何で俺のこと天使だなんて言ったんだろう。
どんな風に見える?って訊いたから、やっぱり見た目なのかな?
穢れてるのを分かってて「天使」と言うなら、それも悪くない。共に穢れて、堕ちたくなる。
この気持ちは何なのかな?
ねぇ、黒崎君。そのブランデーみたいな瞳をちょうだい。そのしっかりした腕をちょうだい。
君と全てを共有したい。俺をあげるから。
「黒崎君は、天使にキスしてみたくない?」
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