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蜜月 28
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長くは見ていられない。
お兄ちゃんが目を開ける前に、窓から目を逸らさなければ。
戯れの続きを施す。
お兄ちゃんは泡を洗い流し、大雑把に顔を拭っている。その顔がフフフと綻んだ。
「こうちゃん、擽ったいよ」
足の指の間に指を入れてみた。ゴツゴツしたお兄ちゃんの足の中で、そこだけ柔らかいような気がしたから、触ってみたんだけど、擽ったいらしい。
足を擽るときは、いつも足裏ばかりしてたから知らなかった。今度、翼にやってやろう。
「………………」
「こうちゃん、こっちおいで。身体を洗おう」
お兄ちゃんに身体を起こされた。
頭の中に現れた翼の顔が消える。突然、ホームシックような寂しさと恋しさが押し寄せてきて、胸が詰まった。
「どうしたの? 逆上せた?」
「……ううん、何でもない……」
翼に会いたい。翼だけじゃない、みんなに会いたい。でも、気付かれちゃダメだ。
いつだって帰りたいと思ってるなんて、悟られちゃいけない。
家族にお兄ちゃんの事を隠していたように、今度はお兄ちゃんにバレないよう会いたい人を隠し続けなければ。
鼻の奥がツンと滲みる。涙を堪えるのに必死になっていたら、俺の身体は泡だらけのモコモコになっていた。
「……旦那様も洗わないと……」
「こうちゃんを抱き締めれば洗えるよ」
お兄ちゃんが背中から抱き締めてきた。ふざけてる。
「ダメだよ。背中が洗えないじゃん」
「じゃあ、こうしよ? これ、持って」
アワアワのスポンジを渡された。これで背中を洗えばいいのかと思ったら、今度は正面から抱き締められた。どうあっても、俺を視界から外したくないらしい。
「僕の背中に手を回して、洗って?」
お兄ちゃんの声が笑ってる。きっと、愉しいんだろう。
でも、俺は面倒臭いと思ってる。俺の腕の長さじゃ、お兄ちゃんの広い背中を全て洗うなんて到底出来ないし、身体は嫌でも密着するし、密着すればヌルヌル滑って妙な気持ちになるし。
でも、お兄ちゃんはお構い無し。
俺の背中や耳の裏に手を滑らせて、念入りに洗ってる。大事な所もしっかり洗われるのかと思ったら、意外にさらっと洗われて終わりだった。
俺は少しでも身体を離そうと、手の回らない所は放っといて、腕やら脚を洗った。
二人して泡だらけ。顔やせっかく洗い終えた髪にもフワフワとくっついている。
お兄ちゃんは笑いながら濯ぎ、大量の泡が排水口へと流れていく。
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