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ある日の事。
県で一番大きな花火大会の日。
俺は友達の誘いを断り、塾に行った。
花火大会が既に終わった塾の帰りに、何故か俺は吸い寄せられるように家の近くの公園に寄った。
いつもなら、誰もいないはずの公園に誰かがいた。
よく目を凝らして見ると、いた。
楽しそうに笑う弟と、あの男が二人で花火をしていた。
遠目から見ても分かるほど、二人の間には誰にも邪魔出来ないような雰囲気が纏っていた。
俺が無理だったあの雰囲気。それを簡単にしたあの男が、憎い。
殺したい。死ねばいい。苦しんで、苦しんで。
この世から消えればいいのに。
俺は、弟とソイツに話しかけることなく走って家に帰った。
何故かあの雰囲気の中に入ったら、ダメだと思った。きっと後悔するって、分かった。
荒々しく帰ってきた俺に、両親は心配して部屋の前まで来た。
俺は適当に返事をして、両親にはリビングに戻るように言った。
ベッドに転がり込む。
胸が苦しくて、辛くて、痛くて、俺は声を押し殺して泣いた。
頭の中では、弟の楽しそうに笑う顔と、それにつられて口元を緩めるあの男が居座った。
上手く息ができず、何度も噎せた。
涙で布団は濡れていた。頭がズキズキと痛み、肺は酸素を欲しがって何度も短い呼吸をする。
なんで弟は俺じゃないんだ、なんで俺は弟を愛した。
なんでアイツは弟を惚れさせた。
なんでなんでなんでなんでなんで───。
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