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やめてください、と言おうとした弟の口の中に指を突っ込んだ。
そんな弟の首筋に何度もキスマークを落としていく。
俺から離れようとした弟を睨みつければ、弟は静かになった。
いや、静かに涙を流していた。
俺に、涙を拭うという権利はない。きっと、それはあの男が持っている。
気づいていた。分かっていた。
弟があの男と出会った時から、俺には完全に望みは無かった。
……いや、…違う。
きっと弟が生まれたその時から、俺は弟を愛し、弟に愛されない運命だったんだ。
キスマークでいっぱいになった首筋を、俺はゆっくり指で撫でた。
チュッとキスマークにキスをしていく。
弟はまだ泣いている。
穴に入っている精液を出そうと手を伸ばせば、弟は自分でするから大丈夫です、と俺に泣きながらそう言った。
何もかもが上手くいかなかった。
だるそうに俺の上から起き上がった弟は、フラフラとベッドからおりた。
部屋から出て行く弟を俺は黙って見ていた。
部屋の外から聞こえる泣き声につられるように、俺は涙を流した。
───愛というものは、全て綺麗なものだと、この世の大体の人間は思い込んでいる。
叶わなくても綺麗だと、無責任にそう言っている。何を根拠に言っているのか分からないが、自分達の言葉に酔った言葉。
けれど、それは間違いだと俺は声を大にして言える。
俺のように汚い愛を、…歪んだ愛を持っている人もいるんだ。
こんなに胸が苦しいのに、こんなに心から愛しているのに、それは許されなかった。
「──…愛してる」
届いて欲しいこの愛は、弟と俺の泣き声の中に静かに消えていった──。
───end
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