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そして、それから数時間後。
俺の人生が弟すべてになる時がやってくる───
夜の十時位の時だった。
勉強していた俺の部屋のドアから、弱々しくドアを叩く音が聞こえた。
弟は既に寝ているはずだった。でも、今、家には俺と弟しかいない。
寝ぼけているのか?
そう思って、俺は、一回目その音を無視した。
すると、部屋の外から『…兄ちゃん、起きてる?』と申し訳なさそうに聞いてくる弟の声が耳に届く。
俺は仕方なく、それに答えることにした。
「寝てないけど」
俺が冷たくそう答えると、弟は俺の部屋のドアをゆっくりと開けた。
椅子を回して、俺は弟を見た。
弟は、大きな瞳から涙を流して泣いていた。
何故か泣いている弟に驚いていると、弟は何も言わずに椅子に座っている俺の首に腕を回す。
ヒクヒク、と嗚咽をもらす弟がとても可愛く見えた。
心臓が、ドキドキととてつもなくうるさくなった。
「お、おい。なんだよ…」
「…にぃ、ちゃ…っ……ボク、怖い…夢みた」
そう言って、泣き続ける弟の背中を撫でることは出来ずに、ただただパジャマが弟の涙で濡れていくのを感じることしかできなかった。
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