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黙ったままの俺に話しかけることは無く、独り言のように弟は話し続ける。
「だってね、兄ちゃん、凄い優しいから」
キツく抱きしめられる度に、俺の身体は壊れそうなほど熱をもっていく。
「兄ちゃんが、クラスの人を倒してくれたおかげでね、ボクもう蹴られたりしなくなったんだよ。…兄ちゃんが手当てしてくれたから、膝の怪我は治ったし。…テスト破ったこと、秘密にしてくれたから、怒られずに済んだ……」
ドキドキドキドキ、と心臓の鼓動は収まることを知らない。
弟の小さな手が、俺のお腹に当たる。俺のパジャマを軽く握りしめる弟の手が小さくて『守りたい』って子供ながらに本気で思った。
「だからボクね、…兄ちゃんが誰よりも一番好きなん…んむっ」
「……黙れ。うるさくて寝られない」
俺は身体を振り向かせて、弟の口を手で塞いだ。酷い言葉をかけられているのに、弟は振り向いてくれた事が嬉しかったのか、ニコッと俺に微笑んだ。
そして、俺の手を口から取って弟は口を開く。
「兄ちゃん大好きだよ」
「俺はお前なんか、…大嫌いだ」
俺はそう言って、また弟に背中を向けた。
弟はそれっきり黙ると、俺に抱きついて、規則正しい寝息を立てて寝始めた。
弟が寝たのに心臓はまだ鳴り止まなかった。
そんな時、しつこい友達の言葉をふと思い出した。
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