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『───好きだって思って、心臓が凄いドキドキするんだよ!』
『───それが恋ってやつなんだよ!』
「ああ、……これが」
弟の寝息しか聞こえない部屋で、俺は一人呟いた。
これが、恋ってやつなんだ。
小さな手が、背中にくる寝息が、たまに出す声が。弟というものが。
全てが愛おしく感じる。
俺は、さっき弟の口を塞いだ自分の手のひらに軽くキスをした。
その手を握りしめ、俺は自分の気持ちに気づいたことを後悔した。
叶わない、なんて小学生でも丸わかりだったから。
男、ましてや血の繋がった弟。
叶うはずなんて、全く無かった。
そして、ここにきてやっと、しつこい奴の言葉をようやく理解する。
俺はやっぱり、“ フツウ”じゃなかった。
あの本を見て、“ フツウ”は喜ぶだろうに、俺は弟の方が綺麗だと思った。
それに、弟に笑顔を向けられただけでドキドキするのも、触られているところが熱くなって熱を持つのも。
“ フツウ”じゃない。
今、この瞬間、弟に抱きつかれて、ドキドキが収まらないのも。
“ フツウ”じゃないんだ。
弟を好きになるということ、弟に恋をするということ。
ああ、俺は……“ フツウ”じゃない。
───俺の初恋は、“フツウ ”じゃなかった。
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