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そう、この初恋は。
「……残念ながら。──叶わないよ」
俺は、外を見ながら自分に言い聞かせるように呟いた。
今、俺の初恋が叶わないと知って笑ったコイツはきっと、俺が過去形で言ってないことには気づいていない。
「あ……」
雨はいつの間にか、やんでいて、そこにポツンとある綺麗なものが強調されていた。
……虹。
空には俺の心とはかけ離れている程の、綺麗な虹が一つ浮かび上がっていた。
それからのソイツは、先生が来るまでずっと自分の話を続けた。
適当に相槌をうち、俺はソイツに向きかかっていた視線を逸らし、また外を見た。
初恋は叶わない、か。
全くもって、これはその通りだと思う。人それぞれだろうけど。
まあ、たとえこの恋が初恋じゃなくても、きっと俺の恋は叶わないから。
俺の愛は絶対に報われない。
自嘲するように、俺は鼻で小さく笑う。
先生が来て授業が始まった頃、ふいに空を見る。
空に浮かび上がっていたはずの虹は、もう少しで消えそうになっていた。
────end
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