アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.9
-
「はぁぁぁ…」
家に帰ると、エレンはベッドに身を投げた。
頭にはまだ、リヴァイの手の温もりが残っている気がする。
「…なんか、急に熱引いた…」
家に帰る前に薬を飲んでおいたからか、体がだいぶ楽になっていた。
事務所から家までは電車で20分ほどなのだが、今日は人身事故やらなんやらで家まで1時間もかかってしまった。
「…あ」
そこでふと、リヴァイのジャケットを持って帰ってきてしまったことに気づく。
スマホを取り出し、クリーニングして返します、とだけリヴァイに送った。
ジャケットからは、石鹸とタバコの香りがした。
(…リヴァイさんの…匂いだ…)
スン、と鼻を鳴らして息を吸い込むと、ふわっと匂いが広がる。
「…はー…なんか安心する…」
ジャケットを抱くようにして目を閉じると、なんとなく心が落ち着いた。
昔、付き合い始めてすぐの頃、度々悪夢を見て眠れなかったことがあった。
そのとき、リヴァイは必ず、エレンが寝るまで抱きしめて、背中をさすってくれていたことを思い出す。
恋人らしいことといえば、手を繋いだり、抱き合ったり、キスをしたことくらいだったが、それでも幸せだった。
体を重ねたこともなければ、あまり「好き」という言葉を交わしたこともない。
それでもリヴァイが、自分を想ってくれていることは、よく伝わっていたな…とエレンは思う。
「兵長…」
ふとしたときに呟いてしまうのは、昔の呼び名。
昔は、リヴァイを1人取り残して逝ってしまったのだから、今はその罰を受けているのかもしれない。
そんなことを思いながら、エレンは眠りについた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 47