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episode.13
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エレンが入所してから、半年と数ヶ月経ち、季節は冬になった。
「おい、イェーガー」
入所してから初めて聞いた、リヴァイの冷たい声に、エレンはビクリと肩を震わせた。
今まで、何度か怒鳴られたことはあったが、こんな冷たい声を聞いたことはない。
「お前、このパソコン使ってなにしてた」
「ええと…頼まれていたデータをこちらに送信して、その後言われた通り手直しを加えておきました」
「指示通りやったか?」
「もちろんです」
「それならなぜ、データが飛んでる」
リヴァイの言葉に、エレンは固まった。
頼まれていたデータは、今日中にクライアントに送信しなければならないもので、時刻は17時。
クライアントとの約束は17時半だった。
「そ、そんなはずは…!確かに保存されたのを確認しました!」
「…素直に謝れねえのか。ミスは仕方ねえもんだが、謝れねえのは感心しねえぞ」
「っ…すみません…っ…」
確かに確認したはずなのに。
そう思いながら、エレンは俯いて謝った。
唇を噛み締め、涙が出そうなのをぐっと堪える。
「…手直しだけでもあと30分は無理だな。明日にしてもらうから、今日中に仕上げ直せ」
「…はい…」
「僕も手伝うよ」
「アルミン、それはエレンのミスだ。自分のミスは自分でカバーできなきゃ意味ない」
アルミンの言葉を、シンがそう言って止める。
「でも…今回のデータはかなり量が…」
「…いい…俺がやる」
エレンがアルミンの言葉を遮る。
「エレン、私が手伝う」
「…いいから。ミカサはリヴァイさんのパラリーガルだろ。俺のパラリーガルじゃない」
エレンは席に着き、パソコンを開く。
(俺のデータは残ってるはず…こっちのは下書きだけだけど、2時間あれば…)
「え…ない…」
エレンはデータを開き、愕然とする。
そのデータに関する資料が、一つも残っていなかった。
「…どうした」
リヴァイが怪訝な顔を向けてきた。
「な、なんでもないです」
(言えない…これ以上…迷惑かけられない)
エレンはぐっと歯を食いしばり、一からデータを作り直すことを決めた。
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