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episode.31
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それから数週間。
エレンは、リヴァイがなぜか自分を避けているような気がして、どうしたらいいかわからなくなっていた。
やはり、年末の飲みの席で何かしてしまったのかと不安になり、聞こうとするものの、言葉は出てこない。
そんな日々を過ごして、今日は久しぶりの車移動だった。
(…気まずい)
車内で2人きり、会話もなく、リヴァイは目も向けてくれない。
今日は、初めてのクライアントとの面会だった。
痴漢の冤罪だ、と本人は訴えているが、実際のところどうなのかはわからない。
弁護士は、本人の言っていることを信じて、やるしかないのだから仕方ないが、冤罪でなかったらと思うと少しだけ怖かったりもする。
それなのに。
今はリヴァイの方が怖くて、エレンとしてはそれどころではない。
何か怒らせるような真似をしてしまったか、ついに嫌われてしまったか、とぐるぐると頭の中に考えがまわる。
そうこうしているうちに署について、面会の案内をされる。
「鍵のかかる、防犯カメラがついている部屋はあるか?」
「はい、2階の会議室なら…」
リヴァイの問いに、警官は不思議そうにしながら答える。
「そこでクライアントと面会する事は可能か?できれば手錠を外してほしい。…陳述書や資料を見たが少し気になることがあってな」
「わかりました。リヴァイさんなら…」
警官から許可がおり、クライアントと、エレン、リヴァイが部屋の中に入り、外から鍵をかけられる。
「…話を聞こうか」
「俺はやってねえって言ってんのに、誰も信じてくれねえんだ!女の尻になんか興味ねえって言ってんのによぉ」
リヴァイが言うなり、男は大声を上げる。だいぶ興奮しているらしい。
本来、弁護士がここまでして、クライアントの話を聞くのは珍しいのかもしれないが、リヴァイはリヴァイのやり方で、裁判に臨むのがいつものことだった。
「そのまま続けていてくれ。悪いが俺は電話が入った。イェーガー、話を聞いておけ」
「は、はい!」
鍵を開けてもらい、出て行くリヴァイを見送るエレンには、その後ろで、男が笑ったのが見えていなかった。
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