アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.37
-
「え、エレンどうしたの、そのシャツ」
事務所に帰って早々、ハンジにそう聞かれる。
「あ…」
帰る前にリヴァイにジャケットを返したエレンは、自分のシャツがはだけていることをすっかり忘れていた。
リヴァイが自分を思い出してくれたという事実で、頭がいっぱいだった。
「…着替えてこい、エレン」
「あ、はい」
泊まり用に替えのシャツをロッカーに入れてあるため、エレンはそれを取りに行く。
「……ん?!」
リヴァイの言葉を何気なく聞いていたハンジは、目を見開いた。
「なんだ」
「今さ、彼のことなんて呼んだ?」
「エレン」
「…………あぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うるせえクソメガネ」
「クソメガネじゃないって言いたいけど今日だけ許す!!その響きいつぶりだろう?!」
「黙れ…頭に響く」
「エレンを思い出すのが遅すぎる」
近くに来たミカサがそう言う。
「お前は本当にぶれないな」
ワイワイと騒ぎ出したハンジに、いつも通りなのにいつも通りではないミカサ、そして端からそっと見守るアルミンを見て、周りの他のメンバーは首をかしげる。
「…どうかしました?」
着替えて戻ってきたエレンに、ハンジ、ミカサ、アルミンの視線が向き、エレンはきょとん、とした。
「よかったね、エレン」
微笑みながらそう言うアルミン。
「…仕方ないから叔父さんに任せる」
不服そうにしながらも結局祝福してくれるミカサ。
「あ、今お前叔父さんって…!」
「クソチビ、エレンを泣かせたら許さない」
エレンに突っ込まれた途端に呼び方は戻ってしまったが。
「ねえねえねえ!いつ思い出したの?!なんで思い出したの?!」
勢いよくリヴァイに突っ込むハンジ。
昔と変わらない、みんなの態度に、エレンはクスリと笑う。
リヴァイと目があうと、リヴァイはふい、と視線をそらしてしまった。
だが、もう一度目があう。
その表情は、昔は見られなかった、柔らかい微笑みだった。
もう一度、巡り会えたから
今度は、もう少し一緒にいられるだろうか。
毎日、なんでもない日常を、過ごしていけるだろうか。
あなたと2人、この世界。
*END*
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 47