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その手に。
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「ふ、じ・・・・・・」
振り向いたヒラの目には涙が溢れていて。
なんでそんな顔するのさ。
そんな顔するなら拒絶しなきゃいいじゃん。
「ふ・・・じ、なんで、来たの・・・・・・」
なんでって、それは
「ヒラのことが好きで、拒絶されるのが
嫌だからにきまってるじゃん!」
「嘘、だぁ・・・・・・・・・・・・!」
なんで嘘っていうの。嘘じゃない。
ヒラは俺のことなんにも分かってない。
俺はこんなに好きなのに。
なんか俺だけが好きだなぁなんて、俺が
そんなこと思うのヒラは知らないでしょ。
俺を見てよ。俺はヒラのこと見てる。
今まで好きになった子はいるけど、
こんな特別な気持ちになったのはヒラにだけなんだよ。だからヒラお願い。
────────俺を、否定しないでよ。
掴んだヒラの手に視線を落とす。
はめたかったけど、・・・・・・いいや。
「・・・・・・何、これ」
ヒラは呆然として俺に問うた。
俺がヒラの手に乗っけたのは青い綺麗な箱。
まだ中は見てないけど形からして入っているものが何かは分かるのだろう。
入っているもの────それは、
──────銀色の華奢なデザインの指環。
「あけていいよ」
これをプレゼントするのは初めてで、
受け取ってくれるか分からなくて緊張する。
少し震える指先で、ヒラは蓋を開けた。
「────!」
まだボロボロ溢れる涙をそのままに、
ヒラはこっちを真っ直ぐに見つめた。
「フジ、これ・・・・・・・・・・・・!」
「・・・・・・えぇっと、」
箱からその指環を取り、ヒラの左手の薬指にすっとはめる。
「あの、さ。上手く言えないんだけどね。
───一生、ヒラの事、大事にしたい」
俺は多分今顔が真っ赤なのだろう。
でもそんなの気にならないほど、ヒラの顔は真っ赤で、まだ涙を零していた。
「・・・・・・て、・・・・・・・・・・・・の?」
俺の耳に届かないほど小さな声は、
ヒラの声だから何を言ったのか分かった。
『僕で、いいの?』
むしろヒラじゃないと嫌だよ、俺は。
「当たり前、でしょ」
「ほん、とに・・・・・・?」
「こんな下らない嘘なんてつかないよ」
もう既に泣きすぎて赤く腫れた目に浮かんだ涙をすくう。
「ほら、ペアリング」
俺の左手の薬指にも同じデザインの指環。
「あと、これ」
一輪の赤い薔薇を模した飾りがついたネックレス。
ヒラによく似合うと思ったし、何より薔薇の花言葉は
───────あなたを愛しています。
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