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ある街角の小さなお店に、野木さんという名前のお花屋さんがいた。
そしてそのお花屋さんをよく通る、谷口くんというちょっと名前の知れた不良くんがいた。
一見出会いもなさそうな二人だけど、オレ(谷口くん)と野木さんはちゃーんと出会ったんだよね。
野木さんは、よく「のぎさん」と間違えられるんだと困ったようなはにかんだ顔で笑っていた。
かく言うオレも一番最初は野木さんをのぎさんだと思っていたから、のぎさんじゃなくて「やぎさん」だと知った時はなんだか白くてムシャムシャと紙を食べてしまうのんびり屋の動物を思い浮かべてしまいあまりのお似合いさにニパッと笑みが漏れてしまった。
売られた喧嘩を買って、割引もなしに暴れて帰る途中に小さなお花屋の前を通りかかった。
家が近所で、名前ぐらいしか知らないお花屋さんに興味があるわけでもないから足を止めることなく進む。
「あの、っ!」
最初は誰かが呼ばれてるんだなぁぐらいにしか思わなくて、クイクイと服の裾を引かれて初めてオレが呼ばれてるんだって分かった。
また喧嘩かと思って少し苛立って振り向けば、オレの拳から顔を庇うようにビクビクって立ってる野木さんがいた。
その頃のオレは、野木さんなんて名前も知らなくて「誰だこいつ」って思ってた。
でも野木さんが、怖がりなくせにビクビクしながらオレより低い位置から見上げて泣きそうな声で必死に「はな…」とか言うから自分の足元をみて、ようやく意味がわかった。
そう言えば、この時の泣きそうな野木さんは最高に可愛かった。どれくらい可愛かったかってーと正直男でもイケるなって血迷っちゃうぐらいに可愛かったわけ。
まあその後、マジになって本当にイケちゃうようになるんだから野木さんの可愛さは魔性ってやつなんだな。
「は、はな……踏まないで…」
「はな?」
「それ…」
怖いくせに、本当はオレみたいな奴と関わりたくないくせに必死になる野木さんの言う通り足元に咲いてたちっせー花から足をずらせばパァッと野木さんが笑顔になった。
そんな可愛い可愛い野木さんの笑顔に一目惚れしたオレは、それからあしげなく野木さんの働くお花屋さんに足を運んだ。
小さな小さな花が咲くように、オレらの恋も花咲ねえかな。なあ野木さん。
「オレってばすっげーロマンチストだよね、野木さん。ねえ、野木さんはロマンチストな男は好き?付き合いたい?エッチしたい?」
「…煩いよ、谷口くん」
「えー」
「えー…じゃない。それに、ぼ…く……同性と付き合いたいとか、気持ち、ないよ…」
「まあ気持ちぐらいどーにでもなるもんね。野木さん格好いい!惚れちゃう!あ、もう惚れてんだけど!」
「……はあ」
野木さん野木さん。
可愛い野木さんにならどんな事言われても平気だよ。
だから野木さん、なんでもするから、オレの事すきになって?
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