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「俺こそ悪かった。怪我は大丈夫か。」
「け、怪我?えっと…え、怪我!?」
嘔吐に怪我もクソもない。
なんでオオカミ先輩が謝るんだろう。
「黎斗、今1年くんは黎斗の上で吐いたこと謝ってんの。」
「そうか。なんともねぇ。」
「え、あ、はぁ…?」
何となく話が噛み合わない。
だって俺にはオオカミ先輩の上で吐いたこと以外謝ることは無いし、ましてやオオカミ先輩が俺に謝ることも無い。
混乱して訳が分からなくなる。
「あのね、黎斗は君のことを轢いたから謝ってるんだよ。スカルの奴らに殴られて車道に放り出された上に頭から車に突っ込んできたから怪我はないかって、そう聞いてるんだ。」
「あ、あぁ!それは、飛び出した俺が悪いので全然大丈夫です!怪我も痛くないし!…でも俺…オオカミ先輩の上で吐いちゃって…」
オオカミ先輩は俺が吐いたことなんともないって言ったけど、飛び出した俺が悪いのに謝って
その事とは無関係なオニーサン達に殴られた事まで心配してくれてるのに
俺はその先輩の膝の上で吐くとか…最悪だ…
「俺っ、ごめんなさい…」
なんて言えばいいかわからなくて、じわぁっと視界が滲んでいく。
「お前、名前は」
「うぅ…ヒック…みつむね、こぅ、たぁ…」
オオカミ先輩が俺の頭を撫でてくるせいで遂に涙がぽろっと零れる。
「漢字は」
何故かオオカミ先輩が名前に食いついてくるので内ポケットを漁り生徒手帳を引っ張り出して学生証を見せる。
「鼻水拭け」
「ゔぅ…ふぁい…」
学生証と交換に差し出されたティッシュで鼻をかむ。
俺の学生証を見て、オオカミ先輩が笑ったような気がした。
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