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27 黎斗side
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俺の名前はよく間違えられる。
『れいと』と読まれやすい俺の名前。
そいつも例外ではなく俺の名前をれいとと呼んだ。
ただほかと違ったのは普通は間違えない苗字すら読み間違えた挙句、読めないとキレてきた事
俺に怯まず、媚びず、真正面から突っ込んできたこと。
何故かいい気分だった。
その日は俺の立場に惚れ、媚びて近寄ってくるキツい香りの香水を纏った胸のデカい女に呼び出されいつもとは違う方向に車を走らせていた。
そしてそいつはまた俺に突っ込んできた。
見慣れた敵グループに殴られ車道に放り出された華奢な体。
反応の遅れた霧也が急ブレーキをかけたが間に合わず鈍い音が鳴った。
敵を轢いたことは何度もあった。
車でも、バイクでも、あった。
道の端にはね飛ばされた体を見ても、何も感じず気にもとめなかった。
でも何故かこいつには、ざわざわと気が立った。
どうしようもない焦燥感に襲われた。
急いで車を降りてぐったり横たわるそいつを抱き上げる。
歩道の端に立ったそいつらを睨みつけると情けない声を出して逃げていった。
「家に運ぶ」
今のところ身内と幼馴染みの霧也以外入ったことのない家。
俺の言葉を聞いて霧也は酷く驚いた顔をした。
無言で頷くと霧也はまた車を走らせる。
「ぇ…ぅ…?」
膝の上に寝かせたそいつが小さく声を上げる。
「寝てろ」
上着を掛けてやると何故か少し笑って目を閉じ、何故か今度は泣き始める。
そして俺をオオカミ先輩と呼んで擦り寄ってきた。
感じたことの無い満足感があった。
それと同時に手に入れたいと思った。
俺を大神黎斗としてではなく
ウルフの総長や、大神組の血縁者としてではなく
ただ自分を助けた『オオカミ先輩』として、俺を呼び、弟子にしてくれなんて馬鹿なことを頼んでくるこいつなら
きっと俺を見みてくれると思った。
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