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36話
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愛里紗は急いで彼女の方へと向かった
しかし愛里紗はあることを考えていた
ー彼女なら大丈夫だろう
何があろうと冷静に全てを想定のうちとし、
行動するだろう…
彼女が負けるはずない、
彼女はここのトップだからー
小さくてもその考えは自分の今の不安でいっぱいな
心を和らぐには丁度いいものであった
今のこの状況での心の支えはその考えだけだった
愛里紗は初めて死体を見た
しかもクラスメイトの血塗ろな姿を
一瞬彼女もそうなっているのでは?
ということも想像したが
ありえないと心の中で思い
その考えは消した
しかし、その考えは甘いものだった
彼女の向かった方へ近づくと共に
濃い血の匂いが鼻を突く
ー…何この匂い…たくさんの人が死んでいるの?ー
愛里紗は想像した
これだけの血の匂いの濃さだ
何人くらいいるだろうと人数をざっとかんがえる
それだけでも吐き気がしそうになった
ーカツゥゥゥゥンンー
足元に転がっていた何かに愛里紗は足が当たった
「こんな廊下の真ん中になんな……」
あともう少しというところで愛里紗は気付く
月明かりでうっすらと見えるその物体
「……え……?」
うっすらとチェリーピンク色ので刻まれた名前入りの
黒く加工された銀の剣が折れていたものだった
その剣が折れたものの先に点々と血が落ちている
普通ならどうとも思わない今の状況ならば
問題にもならないであろう
しかし愛里紗はその剣を見たことがあるのだ
“彼女が先程持っていった剣だったのだ”
そこで愛里紗は身震いをした
顔も青ざめたであろう
あの彼女の剣が折れたのだ
そしてその暗闇の先に
いや月明かりで少しは見えるが
赤い点々が続いている
その先へ行くのは怖かった
もし今の自分の考えが本当になっているのなら
多分これから会うヴァンパイアには
すぐ殺されるだろう
唯一の心の支えがもうこの世にはいないかもしれない
足がすくむ
体が鉛のように重くなる
息もだんだん荒くなる
どうか夢であって…!
愛里紗のその儚い願いは叶わなかった
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