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アウトサイド元カレ視点
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アウトサイド (怜×夏.元カレ視点)
ようやく回収を終えて事務所に帰ると、そこは修羅場だった。あわてて懐を探るが、生憎武器になるような物はない。まあ俺みたいな雑魚が拳銃なんか持たせて貰える訳が無いんだけども。
階段を上がれば途中途中に、先輩やら知らないパンチパーマやらが白目を向いて倒れていて、それを避けながら進む。もしかして他の組との抗争かと思い、事務所の扉を慎重に開けた。
中は酷い有り様で、血やら生きてるんだか死んでるんだか分からない人が所々に倒れ、物が散乱していた。暫く呆然としていると、兄貴の部屋で音がした気がして、あわてて近くに倒れていた角刈りから木刀を奪い向かう。
「兄貴!」
瞬間、ドアを開けなければ良かったと後悔。兄貴の部屋は見るも無惨で、俺が何時かは欲しいと憧れていたユニコーンを象ったクリスタルは床に割れ、タバコの吸い殻は散乱。
椅子は壊され、机には割られた電気スタンド。兄貴の大事にしていた骨董の壺や皿は、全て粉々にされ…机を挟んで対立した
怜と兄貴
兄貴はかなりびびっているのがわかり、しかしそれを見せまいと額に青筋を立てながら怜を威嚇し睨み付けていた。一方の怜は何時ものぽやんとした抜けた表情ではなく、此方も阿修羅のような表情だった。
「兄…貴…」
再び呼べば一瞬空気が震え、胸ぐらを捕まれたかと思うといつの間にか俺は兄貴の体に吹っ飛ばされていた。 あわてて兄貴の上から退いて、兄貴を起こし机の下に隠れた。
「どうなってんっすか…兄貴」
「…………夏が居なくなったらしい。」
あの…馬鹿野郎……
「あああああ゛あ゛あ゛!夏が居ない夏が居ない夏が居ない夏が居ない夏が居ない夏が居ない!お前らが隠した!夏を隠した!夏が居なくなる分けない!愛し合ってるのに!夏が居ない!夏が居ない!出せ!夏出せ!夏…夏…なつぅ……」
咆哮が聞こえたと思うと、最後は啜り泣きに変わっていた。多分夏が居ないと分かった時点で、怜はどうしていいか分からずに事務所に来たが、怒りをコントロール出来ずにぶつけてしまったんだろう。
「怜…兄ちゃんが見つけてやる。だからまずは落ち着け。」
兄貴は立ち上がり、ようやく収まったらしい怜の元へゆっくり近づき、頭を撫でてやりはじめた。流石血肉を分けた兄弟。感動するぜ…にしても夏の野郎…どこに消えやがったんだ… ?
「そういや夏はまだ首輪…ネックレスしてんっすか?してるならまた探知機で探せばいいんじゃないっすか?」
「そうだな。」
兄貴は再び机を漁ると、探知機を取り出してスイッチを入れる。それをそのままパソコンに繋げると、探知機が起動した。ネックレスの番号をカチカチ入れると、場所が表示される。ちゃんと夏はネックレスをつけていたらしい。しかし…
「……随分けったいな所にいるなあ…」
兄貴が呟くのが聞こえる。そう言うのも無理はない。地図上でピコンピコンと可愛らしく音をさせているのは、家と対立している中で最も長くいがみ合いをしている鷲頭組の事務所本部だったからだ。
本当になにしてんだよあの馬鹿は
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