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担当編集者が変わりました 4
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ーー5年前
「帝、ここどうしたら良いと思う?」
19才の春。俺は毎年冬に行われるセミロード文庫の小説大賞に応募する作品を考えていた。
幼馴染みの帝は昔から文章構成とかが上手かったから、俺は何かと帝を頼っていた。
もちろん、その日もその予定だった。
「んー、柏は?どうしたい?」
「えっと……それが微妙なんだよ。」
「じゃあこの先どうゆう風な展開にしたい?」
「『空』は結局死んじゃいます、って展開に持ってきたい。」
「なら、ここは少しそれっぽい伏線でも出しとけば?」
「あーなるほど!ありがと、帝。」
アドバイスを貰うのは、いつも帝の部屋でだから、もちろんその日も帝の部屋で物語の続きを書いていた。
それが間違いだとも気づかずに。
「柏。」
「ん?なーに?」
呼ばれたから顔も上げずに返事をした。
それだけだった……
「は?え?……みか、ど……?どうしたの?」
急に視界が反転したと思ったら、フローリングの床に押し倒されていた。もちろん、帝に。
「なぁ、柏……」
「な、なに…?」
何を考えてるか分からない帝の瞳。
この瞳は、嫌いだ…
「ん!?んんっ……ふっ…ぁ…ん………!!!」
「柏、お前…………」
「い、や………ん…やだ、……止めて………んンッ…」
思いきり唇にキスをされて、隙間から入ってくる帝の舌が口の中を暴れまわって、抵抗してもしきれない。
なんとか体を押し返すと、唇が離れた。
だけど帝は俺の首筋に顔を埋めて皮膚を軽く噛む。
「帝……い、や………も、ほんと、止めて…」
何回も首を振りながら、何度も、何度も懇願する。俺の目からは涙が溢れて止まらない。
「………柏、ごめん。俺、……」
俺の涙が頬を伝い、俺の首筋に顔を埋めていた帝の髪の毛に俺の涙が落ちたとき。
帝は俺から一気に離れて、謝ってきた。
俺はもう何も考えられずに、原稿を適当に纏めるとそのまま持って、鞄を掴んで、帝の部屋を走って出ていった。
「はぁっ、はぁっ………はぁー」
…帝、怖かった…………
家についた俺はすぐにシャワーを浴びて。
首筋についた赤い痕を掻きむしり、さっきまでの出来事を書き消すように首を横に振った。
ーーそれから、俺は一切帝に会いに行かなくなった。
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