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「椿葵くんね。君、確か入学式の日、迷ってなかった?」
「あ、はい…あの時もありがとうございました」
俺は頭を下げた。
「いや。これから気をつけなよ。君は一人で行動するのは危ないから」
生徒会長は俺を見て難しい顔をしてから、俺にブレザーを掛けてくれた。
「あの…?」
「そんな格好じゃあ寮にも帰れないでしょ?」
そう言われて改めて自分の状態を確認した。
Yシャツのボタンは閉めていた第三ボタンから全て取れていて、身体には赤い痕が数カ所に残されている。
本当に俺、襲われそうだったんだよな…
そう思ったら途端に恐怖が俺を襲い始めて肩が震えた。
「…大丈夫?」
助けてくれた会長に心配をかけまいと自分の肩を掴み、無理やり笑顔を作った。
「大丈夫…です………っ!?」
大丈夫だと言ったのに俺は、生徒会長に抱き締められていた。
「え…っと…」
「もう大丈夫。大丈夫だよ」
優しくて、落ち着いた声音で言われると、俺は安心したのか更に肩を震わせて、気がつけば涙を零していた。
「っ……ぅ…」
しばらく胸を借りて、俺が落ち着くと会長は体を離した。
「す、すみません……ありがとうございました」
泣いた後の顔を見せるのは恥ずかしくて嫌だったけれど、助けてくれたのに、安心させてくれたのに顔も見ないでお礼を言うのは失礼だと思い顔を上げた。
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