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嫌な日でも時間は過ぎるもので、一日はあっという間に終わり放課後になった。
「椿葵くん帰ろー…って掃除か」
「あーごめん柊」
「全然いいよ、待ってる」
「ありがとう」
「適当に時間潰しとくから掃除終わったら連絡して」
そう言って、柊は掃除が始まっている教室を出て行った。
「あとはゴミ捨てて終わりだね」
「あ、俺が捨ててくるよ。昨日サボっちゃったし」
「ほんと?ありがとう!じゃあよろしく」
俺はゴミ袋を持って、ゴミ捨て場に向かった。
他にもゴミを捨てに来ている生徒がチラホラ居て、どこか安心している自分がいる。
「よいしょ…っと。あ…」
ゴミを捨てた時、カシャンとポケットに入れていたスマホが落ちて、拾ってから体を起こそうとした瞬間。
一瞬の立ち眩み。
やば、転ぶ…!
そう思って身構えたんだけど、体は何故か倒れなかった。
理由はすぐに分かった。
「蒼衣くん、大丈夫?」
聞き覚えのある声が頭上から降ってきた。
声の主を見上げる。
「会長…」
「今日くらい学校休めばよかったのに…」
「…だって、休んだら、柊が…気にするじゃん…」
俺はぼそりと呟いた。
正直言ったら、休みたかった。
けれど、そうすれば柊は自分のことを、もっと責めてしまうと思った。
「蒼衣くん、君は優しいんだね」
そう言ってふんわりと微笑んだ会長に思わず見惚れてしまった。
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