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俺はそのまま柊の部屋に留まっていた。
「ねぇ、蒼衣はさ…俺とキスするのいや?気持ち悪い?」
「いや…じゃない、けど…でも……」
湊人先輩の言葉が頭をよぎる。
『二人は恋人同士なの?』
ーー違う。
俺と柊は、そういう関係じゃない。
「でも…?」
柊は俺の言葉の先を催促する。
「俺たちって、友達…でしょ?」
そう言って柊を見ると、切なげな表情で俺を見ていた。
こんな表情を見たのは初めてだった。
「柊…?」
「……蒼衣は、友達と何の感情もなくキスできんの?」
「え…?」
「俺は……」
ガチャ…と柊が口を開きかけた時、扉が開く音が聞こえて、人が入って来たのが分かった。多分海が帰って来たんだ…
正直助かったと思った。
「奏那ー?あ、蒼衣来てたんだ」
「あ、う、うん…
じ、じゃあ俺、部屋戻るから」
「もう?晩飯は?」
「き、今日は部屋で食べる!」
そう言って俺は自分の鞄を持って、逃げるように慌ただしく部屋を出た。
「奏那…蒼衣に何かした?正直に言え」
「………キスした。合意なしに」
「無理強いは許さないって言ったよな」
そんな会話を聞くこともなく部屋を出た俺は、恐らく朔弥も帰って来ているだろう自分の部屋へと駆け込んだ。
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