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「柊…ごめん。なんか…」
柊は何も言ってくれない。
どうして…?
さっさと靴を脱いで中へと入って行ってしまった。
俺も立ったまま靴を脱ごうとするも、上手く脱げない。
仕方なく玄関に座り、靴を脱ごうとしてたら、ぎゅっと後ろから抱き締められた。
そして手が伸びて来て、靴を脱がしてくれた。
「……っ」
気付いたら、俺の目からは涙が溢れてて、ポタリと雫が膝に落ちた。
「ごめん、蒼衣」
「な、んで…?」
俺を抱き締める柊の腕を解き、体ごと振り返る。
どうして柊が謝るのか。
俺には理解できなかった。
そして、自分のこの涙の理由も。
「俺、気付いてたんだ。蒼衣が体育倉庫が怖いこと」
「え…?」
「最近、体育倉庫に近付かないようにしてたから。無意識だったんだと思うけど」
全然、自分では意識してなかった。
俺、体育倉庫に近付かないようにしてたの…?
「ちゃんと、言ってあげてれば良かった。そしたら、怖い思いさせなかったのに」
俯いて、少し悔しそうに唇を噛み締める柊に、胸が締め付けられた。
柊は悪くないのに。
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