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湊人先輩は結構速くて、風で靡く先輩の赤いハチマキを見つめながら走った。
『おおっ!一着は我が校の生徒会長、櫻井くんです!一緒にゴールしたのは……1年生の椿葵くんです!おめでとうございます!続いて二着は青組です!手には、何ですか?ぶはっ!カツラです!カツラを持っています!あれはどなたのカツラなんでしょうか!!続いて三着はーー」
放送部の人が楽しそうに実況している。
「はぁっはぁっ…」
「はぁっ…ありがとう蒼衣くん」
「い、いえ…お題って何だったんですか?」
見事一着でゴールして、1位の旗の列に並ぶ。
湊人先輩は持っていた紙を俺に見せてくれた。
そこには
"後輩"と書かれていた。
「…後輩、ですか」
「そう」
後輩だったら、生徒会にもいるのに。
どうして俺を選んだんですか?
頭に浮かんだ疑問を言葉にすることは出来ず、もやもやとしたまま借り出された俺はもう戻っていいと指示を受け、列を抜けて自分の応援席へと戻った。
「蒼衣おかえり〜お疲れ〜」
「ただいま…」
「会長のお題何だったの?白組の一年とか?」
朔弥が口にした予想のお題。
それだったら、あんな疑問なんて浮かばなかったのに。
「"後輩"だった」
「"後輩"?」
「うん、そう」
朔弥と海は顔を見合わせた。
「蒼衣が足速いの知ってたのか?」
「えっ、あーそっか!そういうことか!」
海の言葉に納得がいった。
クラスリレーに誰が出るかくらい生徒会長なら知ってそうだもんな。
それで俺の足が速いって思ったんだ、きっと。
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