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「別に…好きじゃ、ない…」
「じゃあ嫌いなの?」
「嫌いじゃない…」
湊人先輩に対して、スキキライという感情がそもそもない。
前にキスされた時、嫌悪感はなかった。
けど、キスされて嬉しかったとか、もっとして欲しいとか、そんな風に思いはしなかった。
「嫌いじゃない、か…」
首を傾げた。
柊は何が言いたいんだろう?
「会長より俺のこと好き?」
「……」
それは…
コクリと頷く。
そしたら柊はパッと表情を明るくして、ぎゅっと俺を抱き締めた。
「今はそれでもいいや」
柊の体温を感じながら、さっき思ったことを口に出す。
「あのさ…」
「うん?」
「俺、その…さっき、聞かれずに、キ、キスされるかと思ったんだけど…」
「蒼衣、それはダメだよ」
「え?」
何がダメなの?
「前にさ、俺が蒼衣にキスしたの覚えてる?蒼衣が掃除当番で寮の部屋でした時」
「うん」
「あの時、海が帰ってきたでしょ?それで慌てて帰った蒼衣に不思議に思ったみたいで聞かれたの。何した?って」
「…うん」
「正直に言ったよ。同意もなしにキスしたって。そしたらさ、海に怒られた。だから、俺は蒼衣に良いよって言われない限りキスはしないって決めた。…まぁ、今も良いよとは言われてないんだけど」
苦笑いする柊。
海が…
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