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「じゃあ行ってくる」
「何かあったら大声出せよ」
「うん」
「やっぱり俺ついて行く?」
「大丈夫だよ、それに失礼でしょ。先輩じゃないし、いざとなったら柊みたいに蹴り上げるから平気」
どこを、とは誰も聞いてこなかった。
そして教室を出て中庭へ。
放課後だけど、そこに全然人はいなくて、だからすぐに見つけた。
さっき、Cクラスで目の合った子を。
「あの…」
「っ…!」
俺が声を掛けるとその子はびくりと肩を震わせてパッと勢いよく振り向いた。
「この手紙の小桜くんって…」
「あ、そうです、僕です。1-Cの小桜灯厘(こざくら あかり)です」
「あ、これで"あかり"って読むんだ。綺麗な名前」
「えっ!あ、ありがとう…っ」
ちょっと目を伏せて、照れたように笑う小桜くん。
少しの沈黙の後、小桜くんはゆっくりと口を開いた。
「あの、、僕、入学式で初めて椿葵くんを見た時からずっと、その、気になってて…直接話したことは無かったけど、みんなと話してる姿とか見てて…気付いたら好きなってて…あの、えっと……」
一生懸命に話してくれようとしている姿に、キュッと胸が締め付けられた。
「僕と、お付き合い…してくれませ、んか…?」
語尾はどんどん小さくなっていってて、でもなんとか聞き取る。
「…ありがとう。でも、ごめんね。付き合うことはできない」
「そ…うだよね…。聞いてくれてありがとう」
小桜くんは顔を伏せてしまった。
けれどすぐにパッと顔を上げた。
「あの、友達には、なってくれる?」
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