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家庭科室のドアを開けると、そこにはウチのクラス以外の生徒も居て賑やかだった。
だけど、俺がドアを開けたら室内が一瞬シンとして、次の瞬間にはざわつき始めた。
その場で立ち止まっていると、柊が来てくれた。
「蒼衣、その格好でここまで来たの?」
「ひ、柊…うん、着てるの忘れてた」
「バカなの?」
返す言葉もない。
でもそれより恥ずかしい。
「椿葵くーん、文化祭でそれ着るのー?」
知らない人が少し離れた所から聞いてきた。
そちらに視線を向けて、パッと柊に視線を戻すと、柊は困ったように笑った。
「椿葵くんー?」
俺が何も答えないことに痺れを切らして、話しかけて来た人は名前を呼ぶ。
「えっと…「そうだよ!だから当日はウチのクラスに来てねっ」
柊がにこやかにそう言うと、俺の手を引いて家庭科室を出た。
すれ違う人から視線を感じて、とにかく恥ずかしい。
「柊…」
「こんなに可愛いと思わなかった」
呟いた柊の言葉に顔が熱くなるのが分かった。
「っ…」
俺は俯きながら、手を引かれるがままになってた。
階段の踊り場まで来ると、そこに人は居なくて、柊が手に持っていたものを差し出した。
「?」
「試作のシフォンケーキ。食べてみて」
「…ん、美味しい」
「でしょ」
その後も少しだけ話して、俺たちは教室へ戻った。
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