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「なんだこいつ」
「逃げようぜ!」
「それは出来ないな」
と声のした方を見ると、湊人先輩と他に二人の生徒会役員が入り口に立っていた。
「そっちの、榎南くんの下に居る人は…起きてる?」
海に殴られた男は小さく咳をした。
どうやら意識はあるらしい。
「榎南くん、君のその手、ちゃんと手当てした方がいいよ」
それだけ言うと湊人先輩は男達を連れて出て行った。
出て行く間際、目が合って、湊人先輩は悲しそうに目を細めた。
「蒼衣…」
海は心配そうに俺を見て、口元に触れた。
触れられた瞬間、痛みを感じてなのか、恐怖からなのか分からないけど、肩が震えた。
「蒼衣っごめん…僕が絡まれたりしなければ…ごめん、ごめんね…っ」
灯厘はぼろぼろと涙を溢しながら何度も謝る。
そんな灯厘の背中を優しく柾くんは撫でている。
「あかり」
「っ…?」
「ごめん、なんて…言って欲しく、ない」
「ぅ…っ…ありがとう」
「うん」
海が俺に手を貸してくれて、立ち上がった。
「気持ち悪い…」
「トイレ行くか」
俺は頷いた。
「小桜くんのことは、柾に任せていい?」
柾くんは深く頷いた。
「ありがとな。連絡してくれて」
ぽんと海は俺を支えてる方とは逆の手で柾くんの頭を撫でた。
「俺一人じゃどうにも出来なかったと思うので、来てくれて、助けてくれて、ありがとうございました」
柾くんは頭を下げた。
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