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理科室を出て、海と一番近いトイレへ向かった。
ガラガラとうがいを何度もする。
「あー…不味い。臭い取れない」
「これ食う?」
海がポケットから取り出したのは、俺たちのクラスで出してるクッキーで。
「食べる。何でポケットに入ってんの?」
「え。それ聞く?」
袋から取り出し、口の中に放り込む。
ふわっと甘い香りが広がる。
「まさか?」
「そりゃ、腹も空くだろ?」
どうやらつまみ食いみたいだ。
「蒼衣」
「ん?」
「平気か?」
優しく聞いてくれる海に、涙が出そうになる。
「っ…海って昔から優しいよな」
「蒼衣には特別な」
ぽんぽんと頭を撫でられると落ち着くし、安心する。
「ふっ…いッ…」
笑ったら、切れた口の端が痛んだ。
「血が滲んでる」
そう言って、傷の近くに触れた。
「っ…!」
「痛んだか?」
「へーき」
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