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着替えて個室から出る。
「クラス、戻らないと…」
「もう今日は終わりだよ」
「え?」
「海から電話もらった時には既に店も閉めてたんだ。想像以上にお客さん入ったから今日の分が全部捌けたんだ」
「そうなんだ、すごい」
「だから、今あったこと詳しく聞かせて」
「…っ……海」
ぎゅっと海のウエイターの袖を掴んだ時、ちらりと手が目に入った。
慌ててその手を取って上にあげた。
「海っ!待って、俺より怪我してんじゃん!」
ーー『榎南くん、君のその手、ちゃんと手当てした方がいいよ』
湊人先輩の言葉を思い出す。
あの瞬間は俺も落ち着いてなかったし、意味が分からなかったけど、この傷を見て分かった。
「え、なに?どういうこと?」
「蒼衣に手ぇ出してるやつ殴ったんだよ。ちょっとな」
「いや、ちょっとのレベルじゃないよね?この傷の具合的に」
とりあえず血を流そうと水道へ腕を引っ張る。
水が当たると痛かったのか、海は小さく声を漏らした。
そして話をする前に3人で医務室に向かった。
「なーに?これ。こんな風に怪我するなんて何を殴ったのかしら?」
医務室に着くと、保健医の三波先生が居て、傷を見て貰った。
こんな口調をしているがれっきとした男だ。
「人を少々」
「こんなになるまで殴ったのなら、相手の子は?あ、もしかしてさっき会長様が連れてきた金髪の人かしら?」
「多分そうです」
三波先生は眉間にしわを寄せるも、隣の俺を見て何かを察したようだった。
海は手を消毒され、パッドテープを貼られ、包帯を巻かれていた。
「そこの、えっと椿葵くん」
「え、何で俺のこと…」
「そりゃミスコン出てたからね?君のこと知らない人はもうこの学校の中にはいないんじゃないかしら?
そんなことよりこっち来て」
「え、俺は別に怪我とか…」
先生は何やら軟膏を指につけ、そして俺の口端に塗った。
「いっ…」
「はい、おしまい。そっちの君はちゃんと消毒しに明日も医務室に来ること。放っといたら化膿しそうだからね」
それだけ言われて俺たちは医務室から出された。
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