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俯けた頭を、柊は優しく撫でてくれる。
涙も収まり、気持ちも落ち着いてきた。
そしてゆっくり顔を上げた時、目が合った柊の顔が酷く哀しげで、目に焼き付いた。
でもすぐに目を細め、笑ってくれたから、俺もぎこちなくも、笑顔を見せた。
「おし、じゃあ確認するか」
と、言った海がなにやらスマホを取り出し、電話をかけ始めた。
確認って…
「…もしもし?そっちは?大丈夫か?…小桜くんは怪我はしてる?ん、こっちは大丈夫。あぁ、小桜くんに言っといて。あぁ、じゃあな」
やっぱり柾くんに電話したみたいだ。
「転んだときにちょっと擦りむいたくらいで、大きな怪我はないみたいだ」
良かった。
そういえば…
「どうして海、俺たちが理科室にいるって分かったの?」
電話は途中でスマホごと取り上げられていた。
何を言ってたかちゃんとは覚えてないけど、場所まで言えてなかった気がする。
「柾に電話があった時、第二までは聞き取れたんだ。それで、柾がギターの音が聞こえた気がしたって言うから、今日の文化祭で使われてなくて、バンドの演奏をやってる特設ステージが近い、第二理科室だと思ったんだ」
あんなほとんど一瞬の電話だったのに、柾くんはそこまで聞き取ってくれたんだ。
「その電話があった後、柾が俺に電話して来た。灯厘から助けてと電話があったって。でもまさか、蒼衣も一緒に居るとは思ってなかった。思ってなくて、あれを見て冷静でいられなかった。気づいたら殴ってた」
「あれって?」
柊の問いに海は苦笑いをした。
「頭掴まれて、無理やり口に入れられてんの見たんだ」
柊の顔が歪んだ。
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