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「蒼衣?」
「え、あ、何?」
灯厘が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「ううん、なんかぼーっとしてたから」
「大丈夫大丈夫!」
「そう?…あ、予鈴っ」
「戻りましょうか」
「だね。じゃあまたね」
「うん、ばいばい」
二人を見送った後、すぐに理科の先生が教室へやって来た。
「おーい、今日の日直誰だ?ちょっと資料を準備室まで取りに行って欲しいんだが」
「あ、俺です」
「はーい」
俺と泊瀬くんが今日の日直だった。
「面倒くさいねー」
「だねー」
なんて喋りながら急ぐわけでもなくだらだら歩く。
そして言われた理科準備室にやって来たのだけど。
ガッ…
「ん?」
「何、もしかして…」
ガッ!
「開かないね」
「ね」
「理科室から準備室を開けよう」
理科室と準備室は繋がっているから、理科室の中から準備室は開けられる。
理科室を開けると、生徒たちが何人もいた。
まだ本鈴は鳴っていないから次の授業で使う生徒たちなのだろう。
ネクタイのラインが赤い。
「3年生だね」
泊瀬くんがこそっと俺に耳打ちした。
俺は頷いて、そして二人で足を踏み入れた。
ふわりと理科室独特のにおいが鼻をかすめた時だった。
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