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「うっ…」
急に吐き気がして、口元を押さえた。
待って、これは…
頭の中に流れるのは、文化祭の日のこと。
やだ…やだっ…!
「椿葵くん!?大丈夫?」
近くで俺を心配する泊瀬くんの声が聞こえる。
そして理科室内もざわざわしているのがなんとなく聞こえる。
目立っちゃってるなぁ…
なんて考えが頭の隅っこで浮かんでは吐き気がより強くなって消えていった。
「ん、だ、いじょぶ…じゃない、ごめっ」
泊瀬くんに肩がぶつかってしまったが気にする余裕もなくて、俺は急いで理科室を出て、トイレに駆け込んだ。
「うぇぇっ」
個室に入り鍵も掛けずに嘔吐した。
「はぁ…はぁっ…ぅぅ」
涙がぽとりと落ちた。
「大丈夫?」
後ろから声がして、そして俺の背中を優しく撫でてくれる。
その背中を撫でてくれる優しい手つきに、俺は落ち着きを取り戻し始めた。
そして漸く、後ろを振り返った。
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