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柊side…
それは蒼衣が教室を出て行ってすぐに気づいた。
「ねぇ、海」
「何?」
「文化祭の日のあれって理科室だったよね?」
「…あぁ」
「さっきの資料って次の理科の授業のために使う資料だよね?」
「そりゃそうだと思うけど…」
「その資料ってまさか理科準備室にあるとか…」
「ありえるな」
「俺ちょっと行ってくる」
「ちょ、奏那っ」
海の声を無視して、俺は教室を出た。
あの時は確か第2理科室だった。
ただ、一年が使う理科室は大体第1理科室。
違う理科室だけど、でも、万が一があるかもしれない。
正直最近は、蒼衣のことを避けていた。それは蒼衣自身も気づいていると思う。
でも、文化祭のミスコンで見たあの光景が目に焼き付いて、離れない。
会長にキスされて、顔を赤くする蒼衣。
その二人の姿はとても絵になっていて、綺麗だと思った。
俺は、蒼衣の流されやすい性格を利用しようとしていたのかと、自己嫌悪してる。
それで、二人だけでの会話を避けた。
少し、冷静になりたかった、
というのは建前で、ただ、蒼衣から会長の話が出てくるのを聞きたくないってだけ。
そんな自己中な自分に、更に嫌気がさす。
そして、第1理科室が見えてきた時、蒼衣が教室から走って出て来て、そのままトイレへ駆け込んで行った。
口元を押さえていて、顔色も悪かった。
それを見て、何かあったのだとすぐに分かり、俺も走り出した。
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