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柊side…
俺が入る前に、もう一人がトイレへと駆け込んで行った。
その人物と目が合った時、手で制された。
お前は来るなと、そう言われた気がした。
でも、そんな訳にはいかない。
後に続いて中へ入ると、嘔吐する苦しそうな声が聞こえた。
ある個室の前に立つその人はそこに居るのであろう蒼衣に声を掛けた。
「大丈夫?」
そして個室の中へと入って行った。
俺はその場から動けない。
ここから蒼衣の姿を捉えることはできない。
そして、掠れた、蒼衣の声が聞こえた。
「みな、と…先輩…」
「うん。大丈夫?」
「は、い…。っ…すみませっ…」
「大丈夫、大丈夫だから」
「ぅっ…ひっ…く…」
掠れた声は、嗚咽へと変わっていった。
いつだったか、蒼衣が襲われた時、あの時は会長ではなく、俺の手を取ってくれた蒼衣。
もう、俺は必要ない…?
俺はそのまま、蒼衣に声を掛けることなく、踵を返した。
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