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振り返った先に居たのは、湊人先輩だった。
あぁ、さっきの理科室に居た三年生は湊人先輩のクラスだったのかとぼんやりとそんなことを思った。
「みな、と…先輩…」
喉から出た声は掠れていた。
「うん。大丈夫?」
「は、い…。っ…すみませっ…」
「大丈夫、大丈夫だから」
優しく背中を撫でてくれる暖かい手に、涙がこぼれた。
「ぅっ…ひっ…く…」
目の前に居るのは、湊人先輩なのに、
優しくしてくれてるのは、湊人先輩なのに、
それなのに、頭に浮かんだのは…
授業開始を知らせる、本鈴の鐘の音が聞こえてきて、心も体も落ち着いてきた。
「立てる?」
手を差し出してくれる先輩の手は、
「大丈夫です」
どうしてか取れなくて、自力で立ち上がった。
「うがいしようか」
コクリと頷いて、俺は手洗い場に移動して、うがいをした。
吐いたからか、スッキリした。
湊人先輩とトイレを出ると、泊瀬くんが心配そうに立っていた。
「あ、泊瀬くん…ごめん、急に」
「ううん。大丈夫?」
「うん、平気。…っていうか授業始まっちゃってるよね」
「それなら平気。さっき柊くんがそこまで来てて、頼まれてた資料渡して椿葵くんのことも言っといたから、先生に伝えてといてくれるって」
「え…?」
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