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「どこに、向かってるの?」
再び手首を引かれ始め、俺はついていく。
出した声は、少し震えていた。
「行ったら分かるよ。ねぇ、何にそんなに怯えてるの?」
「っ…!」
こちらへ振り返ることもなく、問われた。
そしてグッと掴んでいる手に力が込められた。
爪が食い込んで、少し痛い。
「っ…。伊吹くん、離、して…ねぇ、痛い」
「ふふっ。離さないよ?」
伊吹くんは綺麗に笑ったのに、それなのに、それが怖いなんて…
怖いと感じるのは、この暗さのせい…?
「やだっ…待って、離して」
とにかく恐怖心が俺の中を支配し始めて、どうにか離させようと足に力を込めて立ち止まろうとした。
でもそれは無駄で、グイッと手首を強く引っ張られる。
さっきまでは、振り解けるくらいの強さだったのに、今は腕を振っても解けない。
どこにそんな力があるのだろうか。
そして、半ば引き摺られるようにして進んだ先に見えてきたのは
南校舎の体育倉庫だった。
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