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ネクタイが解かれて、俺はその場に崩れるように座り込んだ。体に残る痛みに立ち上がることが出来ない。
そんな俺の前にしゃがんだ瀬古がニコリと笑みを浮かべて、俺の前髪をぐしゃりと撫でた。
「じゃーな、椿葵くん」
まるで何事もなかったかのようにひらひらと手を振って体育倉庫から出て行った。
俺の周りの床には精液と、所々に血が散っている。
全部夢なんじゃないかと思いたいくらいな状況で、でも身体中に残る痛みはこれは現実だと訴えてくる。
「…っう……」
誰もいない体育倉庫で、俺は涙を流した。
どれくらい泣いていたのか、5分だったのか、10分だったのか分からないけど、体育倉庫内に落ちていた俺の鞄からスマホの着信音が聞こえてきた。
「っ…」
なんとか手を伸ばし、鞄を手繰り寄せ中からスマホを取り出す。
着信していたのは…
まだ鳴り続けるスマホを震える手で通話ボタンを押した。
『あ、蒼衣!?良かった、出た!今どこにいるの?もう20時過ぎてるよ?海も朔弥も心配してるよ?」
「う…ぇ……ひッ…ら、ぎぃ…ッ」
『な、えっ!?泣いてるの!?何かあった!?今どこにいるの!?」
「ひっ…く…ひぃ、らぎっ…」
『蒼衣、一回深呼吸して?今から行くから、どこにいるか教えて?』
「み、みな…校舎、のた、いく…そ、こ…」
『っ!!』
電話越しに息を飲んだのが分かった。
どこにいるかを伝えた、それだけで柊は何かを察したのかもしれない。
『今すぐ行くから、電話はこのまま繋いでて?」
「う、ん」
『今は、一人?」
「…ん」
柊の声を聞くだけで、少しずつ気持ちが落ち着いていく。
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