アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
186
-
柊は俺を落ち着かせようとしてくれていたけど、その手が俺に触れることはなかった。
俺が、俺の体が、それを許さなかった。
呼吸が漸く落ち着いた頃、その間もずっと側に居てくれた柊に視線を移した。
「落ち着いた…?」
「うん、ごめん」
「いや……」
「………」
俺を、部屋に運んでくれたのはきっと柊。
「蒼衣起きた?」
「海…」
ひょこりと扉から海が顔を覗かせた。
そして俺のことを見るなり中へ入って来て、柊の隣に立つ。
「蒼衣、何があったか話せるか?」
「……っ…」
自然と体が震えた。
下唇を噛みしめる。
「海…今日は…」
「蒼衣」
柊が海を止めようとして、海はそれを聞かずに俺をじっと見つめる。
「…あ、の…」
口を開こうとしたけど、上手く言葉が出てこない。
じわりと涙が浮かんできて、視界が歪んだ。
「あの……」
「蒼衣、ゆっくりでいい。ちゃんと、話そうとしなくてもいいから、話せる所だけでもいいから」
「か、帰り道で…伊吹くんに、会って……」
声が震えてるのが分かる。
カタカタと震える手をギュッと握りしめながら、俺は、今日あったことを話した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
187 / 371