アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
187
-
「俺っ…こ、怖くてッ…」
涙がボロボロ溢れて、止められない。
体は綺麗になって、傷の手当てもされてるのに、身体も痛いけど、なにより心が痛い。
ギュッと胸の辺りを押さえる。
不意に海が俺の頭に触れた。
その瞬間その手を払い落とした。
海はびっくりしたように目を丸くしてる。
「あ、ごめん…」
「怖い?」
海の表情は驚きから心配そうな顔へと変わった。
怖いと、思いたくないのに、あの人とは違うのに、それなのに俺はそれを怖いと感じてしまう。
ヒュッと喉が鳴った。
そしてそれは再び俺を苦しめる。
苦しい。
息が上手く出来ない。
「蒼衣、落ち着いて。さっきみたいに、ゆっくり呼吸して」
「うぅ…っ…はっ…あの、」
「うん」
「こわ、い…。髪、触られるの」
柊と海は俺をじっと見つめて、俺の言葉の先を待っている。
「ここ、先輩が…俺の髪を掴んで…棚に…」
おでこの傷を指しながら、されたことを呟いた。
「痛かったね…」
「う、ん…」
収まったと思っていた涙がまた出てきた。
柊は、触れられるのが怖い俺を気遣ってか、タオルを俺に渡してくれた。
海は何も言わず、痛々しそうに顔を歪めて俺を見てる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
188 / 371