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「お腹空いてる?ご飯作ったけど、食べれる?」
「え、柊って料理できるの?」
「まぁね。今持って来るから」
パタパタと部屋を出て行き、すぐに戻って来た柊の手にはお皿に乗ったサンドウィッチ。
「なんだサンドウィッチか」
「何その反応〜俺が一生懸命 蒼衣の為に作ったんだよ?」
「ごめんごめん」
「あげないよ?」
「やだ。食べたい」
「ふふっ、はいどうぞ」
お皿から卵の挟まれたサンドウィッチを一つ持って、パクリと一口。
「ん、美味しい…」
「良かった」
嬉しそうに笑う柊に、体はまだ痛いけど、心の痛みは少しだけ引いた気がした。
ご飯を食べてからも、柊はずっと一緒に居てくれた。
おでこのガーゼを取り替えようと、柊が手を伸ばして来て触れそうになった瞬間、バシッと手をはたいてしまった。
俺自身が驚いた。
柊は俺がはたいてしまった手を見つめて、ぎゅっと握った。
「…ごめんっ」
怖くて、悔しくて、辛くて。
思わず謝った。
「蒼衣、大丈夫だから。俺は大丈夫。だから、泣かないで…?」
「え…?」
「今の俺じゃ、その涙を拭ってあげられそうにないから」
気づかない間に、俺の頬を涙が伝っていた。
そして柊も泣きそうになっていた。
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