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それから卒業式まで生徒会は大忙しで、あっという間に卒業式当日を迎えた。
在校生の代表として高宮先輩が送辞、卒業生を代表して櫻井先輩が答辞を読んだ。
啜り泣く声が体育館のあちこちから聞こえてくる。
あの日から、櫻井先輩とはあまり会話をしていない。
もう、伊吹くんはいないのだから、怯える必要はないのに。
それでも、なんとなく"湊人先輩"とは呼べなくて。
卒業式も無事に終えて、校舎を出ると、そこには沢山の卒業生と在校生がいた。
各々で別れを告げているのか。
そんな様子を見ている時だった。
「椿葵くん」
不意に声をかけられた。
そちらを見るも、そこに居たのは全く知らない人で、胸元に卒業生だと分かる花飾りが付いている。
「あの…?」
「記念に俺と一緒に写真撮ってくれない?」
「へっ?」
「お願いっ」
「…わ、分かりました」
そして先輩はスマホを取り出し、インカメラにしてカシャとシャッター音がした。
「ありがとう!」
「いえ、卒業おめでとうございます」
名前も知らない先輩はニッと笑って走り去ってしまった。
その後何度か先輩から話しかけられ、写真を撮ったり握手をしたり、時には抱きしめられたりした。
卒業式だからかな。
そして…
「蒼衣くん」
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