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誘拐
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それから何日か、聖夜の顔を見る事はなかった。慣れない家の中を幾度も歩き回ったが、アイツに会うことはなかった。避けてんのかな。自業自得だろ。
部屋に付いているベランダのようなところで、外を眺めながら、イライラしている。蒼介はあっちに残ってるから、学校でしか会えないのに、最近は学校にも行かせてもらってない。
「何がしたいんだ」
俺は、アイツがわからない。昔も今も変わらなずに。頭が痛くなってきて、ベッドに寝そべる。何か、眠たくなってきた。最近寝れてないせいか。考えている間に、重い瞼を閉じていた。
起きた瞬間見えたのは重たくて冷たい金属の様な何かに手首と足を縛られた自分だった。よく見れば、首にも何かつけられている。
天井や壁を見る事から、俺の部屋じゃないことは確かだ。服はそのままだけど、お尻が冷たいし痛い。目の前には鏡が置いてある。こんな部屋見たこともない。なんかすごい、気持ち悪い。
「誰かいませんか~?」
「あ、起きたのかー。おはよう、皇子様」
目の前に現れたのは、見覚えのある男だった。顔立ちは無駄に整っていて、ムカつく笑顔を張り付けていた。
鬼...なのか?俺達と同じような耳じゃなくて、鋭く尖った角がついている。絵本とかでなら見たことあったけど、本物は初めてだ。服も洋服に近い和服で、すごいかっこいい。
「誰ですか?俺をどうするつもりですか?」
「俺の名前はね、響鬼だよー。その名の通り、俺は鬼の家系。言っとくけど、これ、偽もんじゃァねぇからな」
「そんなもん、見たら分かりますよ」
「随分強気だな。やっぱり、聖夜の性格も混じってんのか。もう少し、煉鐚に似たってよかったろうに」
膝に肘をついて、こちらを見てくる男...響鬼。殺気なんて全くなくて、逆に何か...違う感じの気配がする。
「あ、そういやぁ、ここが何処か言ってなかったなぁ。此処は、俺の店だ。今日は、お前の貸し切りだ。誰かが、ここに来るまで、大人しくしてろよォ?」
爽やかな笑顔を浮かべて、部屋から出ていったアイツの言葉を思い出す。なんで、俺の貸し切りになってんだよ。しかも、こんなもんまでつけやがって、今度アイツが来たら、ぶっ飛ばす。
「一つ言い忘れてた、王室の人しか、皇子様を助けてくれないからァ、他に奴が来ても、襲われちゃうだけだからな」
勢い良く響鬼の顔面を目指して、飛ぶ。もう少しで、手が届きそうな所で、鎖が邪魔して、転けた。
「元気だねぇ、その元気がいつまで持つか、楽しみにしてるよ。皇子様」
あいつマジで何なの。イライラしすぎて、禿げそうなんすけど。絶対、誰も来ねぇじゃん。こんな鎖いらないし。
痛みに耐えながら立ち上がると、目線と同じ高さに、窓があった。なんで、今まで気づかなかったんだ。近くまで近づいて、外の様子を伺う。
それはまた、見覚えのある景色だった。此処は、宮廷の庭...?なんで、こんな近くなのに、アイツは俺を閉じ込めたんだ?ここなら、絶対、誰か来るし。
「深夜様!?何でこんなところに!!」
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